明日は明日の風が吹く

東大法学部卒、外資系金融機関勤務の20代サラリーマンによる、教育・就職を中心とした知識や経験の発信です

【金融】「外資金融」といっても様々 その1

こんばんは。早速留守にしてしまいました。。金融勤めには珍しくGWは9連休となり、昨日までバリ島におりました。1日は同じ24時間なのに、こんなにも東京にいるときと時間の過ぎ方が違うものかと驚くばかり。英語も使いましたが、日本語も一部通じるので非常にスムーズに旅行できる場所でもあります。

外資金融マンは高給多忙?
さて、今日は「外資金融」というワードについて。よく外資金融に勤めているというと、毎日忙しく早朝から夜中まで働き、接待に次ぐ接待、超高給でもクビになりやすい、チャラそう(?)など先ばしって評価をされます。
たしかに、そのようなイメージの人が集まる部署やチームもあるのですが、会社や部署によって役割や給与水準、忙しさが全くと言っていいほど違います。
 
まず、前提として、以下で外資金融を指した場合には、クレジットカード会社や個人向けにも営業している銀行(リテール)ではなく、基本的には法人向け専門に営業している外資証券や銀行(ホールセール)を指すものとします。
そして、そのホールセールのなかでも、新卒採用を積極的に行っているのは「投資銀行」(Investment Bank)と呼ばれる証券会社です。あまり投資銀行という言葉を聞きなれない方もいらっしゃると思いますが、法人向け専門に営業している証券会社を欧米ではInvestment Bankという呼び名で呼んでいるので、それを訳したものです。基本的には自身で何か投資したり、銀行のように預金は投資銀行の括りではやっていないので、注意が必要です。
 
投資銀行業界 
投資銀行業界は主にアメリカ系とヨーロッパ系が占めており、米系の会社としてはゴールドマン・サックスモルガン・スタンレーJPモルガンバンク・オブ・アメリカメリルリンチなどがあります。ヨーロッパ系ではスイスのUBSクレディ・スイス、ドイツのドイチェ、イギリスのバークレイズなど。
JPモルガンUBSなどはグループ内に通常にイメージ通りの銀行業もあり、グループの一事業として投資銀行をやっており、ゴールドマン・サックスモルガンスタンレー投資銀行業がグループ内の業務のウエイトをかなり占めています。
なぜ米系と欧州系で分けられるかというと、社風が異なっていることがよく挙げられます。米系は上からの強いリーダーシップによるトップダウン、欧州系は若干まったり系、というようなイメージでしょうか。私は米系でも欧州系でも働いた経験がありますが、部署やチームによって全く雰囲気は違い、この会社はこういう人が集まりやすい、というような傾向は多少あるものの、単純に米系と欧州系でグルーピングするのは難しいと思います。
 
部署
 
投資銀行の部署ですが、大きく分けると投資銀行部とマーケット部が存在します。今日は投資銀行部門の話をしましょう。
投資銀行部門は、M&Aの助言や資金調達を行っています。この部署で働く人を「インベストメントバンカー、またはバンカー」といいます。M&Aの助言は、継続的に顧客企業にM&A戦略を実行した場合の考えられる方法やメリットなどを営業する活動と、実際に実行に向けて始動した際に買収価格の算定などを行います。
資金調達は株式や債券の発行を通じて発行体(顧客企業)が市場から資金を調達する行為をサポートする業務です。発行した証券を市場に売り出す際は、証券会社がいったん証券を買い取って、証券会社が責任をもって投資家に売りさばくため、アンダーライティング(引受)とも呼ばれます。
こちらの部署は、日々連続した安定した取引があるわけではなく、ドンと大きい案件(数億円の手数料収入)が年間何十個かあってビジネスを成り立たせているので、とにかく一個でも案件を取ろうと営業に次ぐ営業で何百、何千と資料を投げることとなります。
顧客企業にとって、M&A資金調達は重大な経営戦略となるので、顧客も経営戦略部の部長レベルがメインの相手方となるので、基本的には営業はシニアバンカー(だいたい30歳以上で7,8年経験を積んだバンカー)がいきます。それ以下のジュニアバンカーはシニアのいう通りに永遠と資料や実務をこなしていき、朝9時、10時から朝5時まで20時間くらい働いています。土日も少なくともどちらかは働いています。デフォルメでもなんでもなく、事実です。
筆者は新卒で投資銀行部門に入りましたが、朝10時から早くても午前1時、遅いと4時、案件が始まると朝6時まで働いていました。しかし、その分待遇はよく、相場では1年目で年俸が700-900万円に加え、1年がんばるとボーナスが100-300万円程度が入ります。悲しいかなボーナス0の時もあるようですが。。3年過ごすと年俸は1500万円近くなり、ボーナスも基本的には増えていきます。26,27歳にして年収2000万円前後になる計算ですね。